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運動と学力の相関関係とは?科学的根拠と脳を伸ばす習慣を解説
運動が子供の学力に良い影響を与えるという話を聞いたことがあるかもしれません。
実は、運動と学力には科学的に証明された正の相関関係が存在します。運動を通じて脳の機能が高まり、結果として学力の向上につながるのです。この記事では、その科学的根拠を解説し、学力を伸ばすために運動を生活の習慣として取り入れる具体的な方法を紹介します。
「運動ができる子は勉強もできる」は本当?調査でわかった学力との関係性
「運動ができる子は勉強もできる」という言葉には、科学的な裏付けがあります。
国内外の複数の調査データによると、学力と運動能力との間には正の相関関係が見られます。
例えば、体力テストの結果が良い子供ほど、学力調査の成績も高い傾向にあることが報告されています。
また、日常的にスポーツに親しんでいる子供や、運動部に所属している生徒の方が、そうでない生徒に比べて偏差値が高いというデータも存在します。この関係性は、運動が脳機能に与える好影響によるものと考えられています。
なぜ運動で頭が良くなるの?学力を伸ばす3つの脳科学的な理由
運動が学力向上に寄与する背景には、脳内で起こる科学的な変化があります。
体を動かすことで、脳の神経ネットワークが強化され、学習に必要な認知能力と集中力が高まるのです。
具体的には、特定の脳内物質の分泌が促進されたり、記憶を司る脳の領域が活性化したりします。
ここでは、運動が脳に与える3つの主要な影響について、脳科学的な観点から解説します。
脳の神経細胞を増やすBDNF(脳由来神経栄養因子)が活性化する
運動をすると、脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質の一種が分泌されます。
このBDNFは、脳の神経細胞であるニューロンの発生や成長を促し、細胞間のつながりを強化する働きを持つため、「脳の栄養」とも呼ばれています。
特に、記憶や学習に重要な役割を果たす海馬において、BDNFの分泌は神経細胞の新生を促します。
運動によってBDNFが活性化することで、新しい情報を学び、記憶として定着させるための脳の基盤が強化されるのです。
学習意欲を高めるドーパミンが分泌される
ドーパミンは、快感や意欲に関わる神経伝達物質で、「やる気ホルモン」とも称されます。
運動を行うと、このドーパミンの分泌が促進されます。
目標を達成した時のような心地よさや達成感が得られ、これが学習に対するモチベーションの向上に直接結びつきます。
ドーパミンが分泌されると、物事への興味や関心が高まり、学習活動へ前向きに取り組む姿勢が育まれます。
運動を習慣にすることで、勉強に対する集中力や持続力も自然と高まっていきます。
記憶を司る海馬の機能が向上し学習効率がアップする
海馬は、脳の中で新しい情報を一時的に保管し、それを長期記憶として定着させる重要な役割を担っています。
運動によって全身の血流が良くなると、脳、特に海馬への血流量も増加します。
これにより、海馬に十分な酸素や栄養が供給され、神経細胞が活性化し、新しい細胞の生成も促されます。
海馬の機能が向上することで、学習した内容を効率的に記憶する能力が高まり、結果として学習効率のアップにつながります。
学力アップにつながる!今日からできる効果的な運動は?

運動が学力向上に効果的であることは理解できても、具体的に何をすれば良いのか迷うかもしれません。
特別なトレーニングは不要で、日常生活に少し加えるだけで効果が期待できます。
特に、脳が覚醒しやすい朝の時間帯に軽い運動を取り入れることは有効です。
ここでは、思考力や集中力を高め、学力アップに直接つながる効果的な運動メニューを具体的に紹介します。
思考力と体力を同時に鍛える有酸素運動(ジョギング、水泳など)
ジョギングや水泳、ダンスといった有酸素運動は、一定時間継続して行うことで、心肺機能を高め、全身の血行を促進します。
これにより、脳へ供給される酸素の量が増え、脳細胞が活性化します。
特に、有酸素運動は思考や創造性を司る前頭前野の働きを活発にし、記憶力を高めるBDNFの分泌を促す効果が高いとされています。
複雑な思考を必要とする問題解決能力や、粘り強く学習に取り組むための体力を同時に鍛えることができるため、学力向上に非常に効果的です。
脳の処理能力を高めるコーディネーション運動
コーディネーション運動とは、目や耳から入ってきた情報を脳で処理し、体を的確に動かす能力を高める運動です。
例えば、ボールを投げながらステップを踏む、ダンスの振り付けを覚えるなど、複数の動作を同時に行う運動がこれにあたります。
こうした複雑な動きは、脳の情報処理速度や判断力、注意力といった実行機能を鍛えます。
結果として、勉強中に複数の情報を整理したり、素早く問題の意図を理解したりする能力の向上に繋がります。
運動能力を高めながら、脳のワーキングメモリも鍛えられる一石二鳥のトレーニングです。
勉強前の10分間の軽い運動で集中力を高める
本格的な運動時間を確保するのが難しい場合でも、勉強を始める直前に10分程度の軽い運動を取り入れるだけで、学習効果を高めることができます。
その場で軽くジャンプしたり、少し息が上がる程度の早歩きをしたりするだけでも、心拍数が上がり脳への血流が増加します。
これにより、脳が学習に適した覚醒状態になり、集中力や注意力が高まります。
特に学習を始める前に行うことで、その後の勉強への導入がスムーズになり、内容が頭に入りやすくなる効果が期待できます。
運動神経が発達する「ゴールデンエイジ」を逃さない
一般的に9歳から12歳頃の期間は「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、運動神経が最も発達する時期とされています。
この時期の子供の脳は、新しい動きを見てすぐに模倣できるほど柔軟で、神経系の発達がピークに達します。そのため、この期間に多様な種類の運動を経験させてあげることが極めて重要です。特定のスポーツに特化するよりも、鬼ごっこや木登り、様々なボール遊びなどを通じて、バランス感覚や巧緻性といった基本的な身体操作能力を養うことで、生涯にわたる運動能力の基礎が築かれます。
運動を無理なく続けるための3つのコツ

運動が学力向上に良い影響を与えると分かっていても、子供にとって運動を継続させることは簡単ではありません。
大切なのは、運動を「やらされるもの」ではなく、「楽しいもの」として認識させ、生活の一部として自然に習慣化させることです。
ここでは、子供が無理なく、そして楽しみながら運動を続けるための具体的な3つのコツを紹介します。
まずは親子で一緒に楽しめる運動から始める
子供に運動を習慣化させる最も効果的な方法の一つは、親が一緒に楽しむことです。
子供は親の行動をよく見ており、親が楽しそうに取り組んでいると自然と興味を持ちます。
週末に公園でキャッチボールをしたり、一緒にサイクリングに出かけたり、あるいは簡単なダンスを踊ったりと、親子間のコミュニケーションの時間として運動を取り入れてみましょう。
このように楽しい経験を共有することで、子供は運動に対してポジティブなイメージを抱き、自発的に体を動かすようになります。
日常の遊びに運動を取り入れる
運動を特別なものと捉えず、日常生活の中に組み込む工夫も大切です。
習い事を活用するとともに、普段の遊びの中に運動要素を取り入れましょう。
例えば、買い物の際に少し遠回りして歩く、公園の遊具でダイナミックに遊ぶ、家の中で風船バレーをするなど、意識すれば運動の機会はたくさんあります。
遊びの延長線上で体を動かすことにより、子供は運動しているという感覚なく、自然に体力や運動能力を向上させることができます。
スイミングスクールや体育スクールなどの「習い事」を活用する
運動を継続させるためには、モチベーションの維持が欠かせません。
そのために、スイミングスクールや体育スクールなどのキッズスクールに通うことも選択肢の1つです。
スクールに通うことで、専門の資格を持ったコーチから楽しく指導を受けられるのはもちろんのこと、同世代のお友だちと一緒に練習をすることも、「また行きたい!」というモチベーションに繋がります。
また、子供が達成感を味わえるような「小さな目標」が設定されていることも、子供たちのモチベーションの維持・向上につながります。
習い事としてスクールを探すときは、こうした「カリキュラム」にも着目して選んでみるのも良いかもしれません。
そして、子供たちが目標を達成できた際には、その努力を具体的に褒めてあげることが大切です。
この成功体験の積み重ねが自信となり、自己肯定感の向上にも繋がります。
次の目標に向かう意欲が生まれ、運動を続ける好循環が生まれます。
運動と学力に関するよくある質問
運動と学力の関係性について、保護者や教育関係者の方々から寄せられることの多い質問をまとめました。
運動の強度や、運動が苦手な子供へのアプローチ、運動を始めるのに適した年齢など、具体的な疑問に対して簡潔にお答えします。
日々の生活の中で運動を取り入れる際の参考にしてください。
激しい運動じゃないと学力への効果はありませんか?
いいえ、激しい運動でなくても効果は期待できます。
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動でも、脳の血流を促進し、集中力や記憶力に良い影響を与えます。
大切なのは運動の強度よりも継続することです。
学力と運動能力との関係においては、楽しめる範囲で体を動かす習慣を持つことが重要となります。
運動が苦手な子の場合、どうすれば良いですか?
無理に特定のスポーツをさせる必要はありません。
まずは本人が「楽しい」と感じられる身体活動から始めることが大切です。
例えば、鬼ごっこやダンス、近所の散策など、遊びの延長で体を動かす機会を増やしましょう。
楽しさを感じることで運動への苦手意識が薄れ、基礎的な運動能力も自然と育っていきます。
学力向上のためには何歳頃から運動を始めるのが理想的ですか?
特定の理想的な年齢はありませんが、神経系が著しく発達する幼児期から様々な動きを経験させることが望ましいです。
特に、運動能力が飛躍的に伸びる「ゴールデンエイジ」(9歳~12歳頃)に多様な運動に触れることで、生涯にわたる運動の基礎が築かれます。
年齢に合わせて楽しめる運動を取り入れることが大切です。
まとめ
運動と学力の間には、脳科学的な根拠に基づいた明確な正の相関関係が存在します。
運動は、BDNFやドーパミンといった脳内物質の分泌を促し、記憶の中枢である海馬の機能を高めることで、学習に必要な集中力や記憶力といった認知能力を直接的に向上させます。
大切なのは、特別なスポーツをすることではなく、ウォーキングや遊びなど、日常生活の中で体を動かすことを習慣化することです。
子供の持つ能力を最大限に引き出すためにも、運動と勉強のバランスの取れた生活習慣を築いていくことが重要です。
セントラルスポーツ研究所(CIS)では「運動で子供の脳機能・学力に良い影響を」というレポートで、運動の短期的・長期的な脳へ及ぼす影響、学力との関連について解説しています。お時間ございましたら、こちらもぜひご覧ください!


