熱中症予防
「WBGT (暑さ指数)」に注意して
熱中症を予防しよう

近年、気候変動の影響等もあって気温が年々上昇しており、熱中症のリスクが高まってきています。熱中症は、正しい知識を身につけ、適切な対策をすることで発生や重症化を防ぐことができます。
熱中症の危険度を判断するための指標に、「暑さ指数」と呼ばれるWBGT(Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)があります。WBGTは、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。人間の熱バランスに影響の大きい気温・湿度・輻射熱(日射)・風(気流)などを総合的に取り入れた温度の指標で、熱中症になる危険性の度合いをより正確に判断することに役立ちます。
WBGTの予測に基づいて環境省と気象庁は「熱中症警戒アラート」を運用しています。
「熱中症警戒アラート」は,WBGTが33以上と予測される地域に発表されます。さらに一段上の「熱中症特別警戒アラート」は、「過去に例のない広域的な危険な暑さ」が想定されるWBGTが35以上と予測される場合に発表されます。これらのアラートには「熱中症の危険性が高いので、いつも以上に熱中症予防に努めましょう」という意味合いがあります。
警戒および特別警戒アラートが発表された場合には、運動や外出を控えたり、水分や休憩を十分にとったりなど熱中症を予防するための最善の対策を行いましょう。
熱中症は、高齢者の日常生活での発症が多い一方で、若者や子どもの場合には運動やスポーツ場面で数多く発生しています。図1は、中学・高校の運動部活動中に発生した熱中症事例とWBGTの関係を調べた結果です。WBGTが28を超えると熱中症発生の危険性が高まり、31を超えると危険性が急激に増大することがわかります。

日本スポーツ協会は、WBGTにもとづく運動制限の目安として「熱中症予防運動指針」を発表しています(図2)。この指針は、環境温度に応じてどのように運動したらよいかの目安を示したものです。

この指針では、WBGTが31以上では運動は原則中止、28以上31未満では激しい運動は避けるなどとしています。WBGTに応じて、水分や休憩などの基本的な対策はもちろんのこと、活動中止や延期の判断をすることが重要となります。
湿度や輻射熱(日射)の影響は大きく、気温だけで判断すると熱中症の危険に気付けない場合があります。WBGTを活用することにより、的確に状況を把握して適切な対策をとることができ、熱中症を未然に防ぐことにつながります。WBGTは、計測器を用いて確認できますが、「環境省熱中症予防情報サイト」でも知ることもできます。子どもは体温を調節する機能が十分に発達していないため、大人に比べて熱中症にかかるリスクが高くなります。
運動や外遊びをする時などには是非、WBGTを参考にしてみて下さい。
適切な水分補給で熱中症を予防しよう

熱中症は生命に関わる病気ですが、適切に予防をすれば防ぐことができます。日常生活における予防は脱水と体温の上昇を抑えることが基本です。
体温の上昇を抑えるには、暑さから逃れる行動性の体温調節(薄着になる・日陰に移動する・水浴びをする・冷房を使う等)と、自律性の体温調節(皮膚血管の拡張と発汗)により熱を体の外に逃がす方法があります。高温環境では汗による体温調節に対する依存率が高くなり、汗のもととなる体の水分量を維持することが重要になります。
普段から、体の水分量を満たしておく
体の水分量を満たしておくには、まずは普段から体を必要な水分で満たしておくことが大切です。水分は飲み物で補うものと考えがちですが、飲み物だけでなく食べ物にも含まれています。特にごはん(水を入れて炊く為)、野菜、果物、乳製品などは水分が多く含まれます。
食事には、みそ汁やスープ等汁物を加えることがおすすめです。これは、食事のバランスを整える為だけでなく、水分の補給にも役立ちます。また、これらの食品は水分だけでなく汗で失われるミネラルも含みます。そのため、普段から適切な量の食事と水分補給をすることで体内は適度な水分と栄養で満たされ、発汗しても脱水を回避することができます。
水分補給のコツ
日常や運動する時も、体の水分量を満たしておくためのコツは2つあります。
① | のどが渇く前に水分を摂る。 体を動かし「のどが渇いた」と思った時点で、すでに脱水が始まっています。 |
② | 少しずつこまめに飲む。 のどが渇いていると一気に飲みたくなりますが、一度に沢山飲むと脇腹の痛みや、胃液が薄まることによる消化不良の原因になります。 |
また、ドリンクの温度は10℃前後(やや冷たいと感じる)が吸収されやすいと言われています。

ドリンクを飲み分ける
脱水を予防するためには水分補給が大切です。ただし、やみくもに飲めば良いというわけではなく、発汗量に応じた適切なドリンクと効果的な飲み方を意識することが大切です。
・ | あまり汗をかかない場合 水かお茶を選びましょう。お茶はノンカフェインの麦茶やカフェインの少ないほうじ茶等が良いでしょう。カフェインを多く含む緑茶や紅茶等は利尿作用がある為、水分を補給する意味ではおすすめではありません。 |
・ | 大量に汗をかく場合 運動時など、大量に汗をかくような場合は、スポーツドリンクがおすすめです。 スポーツドリンクには塩分や糖分が適度に含まれている為、汗で失われたナトリウムやカリウムなど電解質を素早く吸収することができます。この時に、水やお茶などで水分補給を行うと「自発的脱水」になる恐れがありますのでスポーツドリンクを飲むようにしましょう。 |
※ | 「自発的脱水」とは、体内の電解質成分(ナトリウムやカリウム等)の濃度を保とうとして起きる脱水です。発汗により水分と電解質を失った状態で水やお茶など、水分だけを補給すると体液が薄くなります。体は体液の濃度を一定に保とうとするため、水分を出して濃度を上げようとし、さらに発汗や利尿が起こります。こうして更に脱水が進むことが「自発的脱水」のメカニズムです。 |
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