肥満
子どもの肥満は、大人の肥満のもと
2000年以降は若干減少傾向にありますが、肥満傾向にある子どもが30年前頃に比べ2~3倍に増加しています。子どもをとりまく生活環境は、昔に比べて大きく変化しています。
子どもの肥満が増加している原因として、室内遊びの増加による消費カロリーの減少や食事内容の欧米化に伴う摂取カロリー過多、生活の夜型化といった生活習慣の乱れが挙げられます。
図1は、テレビやビデオゲームなどで遊ぶ時間が長い子どもは、運動不足になり、食生活も乱れやすくなるため肥満や太り過ぎになりやすいという調査結果です。
小児期でも肥満度が高いと、中性脂肪・血圧・血糖などの上昇、またHDLコレステロール値の低下が見られ、メタボリックシンドロームを発症する可能性が高いことが分かってきました。そこで、新たに小児期メタボリックシンドロームの診断基準が設けられ、早期発見・早期予防の取り組みが行われています。しかしながら、子どもの場合、肥満により生活習慣病になる割合は成人ほど高くありません。子どもの頃に肥満であることのもう一つの大きな問題は、成人になってからの健康を害しやすくなることです。
幼児期の肥満は学童期の肥満に、 学童期の肥満は思春期の肥満に、 思春期の肥満は成人期の肥満につながり、小児肥満は成人肥満に高い確率でつながります。幼児期肥満の25%、学童期肥満の40%、思春期肥満の70~80%が成人の肥満に移行することがわかっています(図2)。
思春期肥満が高い確率で成人肥満につながる理由は、体格が形成されてしまうことや、生活習慣が定着してしまうことから肥満を改善することが難しくなるためです。さらに、肥満の子どもは、大人になってからの生活習慣病のリスクが高まったり、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を発症する確率が高くなります。
したがって、子どものときに肥満の予防や解消をしておくことは、大人になってからの健康のために非常に重要なのです。
大人と同様に、子どもにおいても肥満の予防・解消は「適度の運動」「適切な食事」「規則正しい生活」が大切です。
また、子どものうちに身についた不健康な生活習慣は、成長してからも引き継がれる傾向にあります。将来にわたって、健康で楽しい生活を送るため、早い時期から正しい生活習慣を身につけるようにしましょう。